1998年10月18日に阿寒町で開催されたワークショップ「ワシ類の鉛中毒防止に向けて」において、参加者一同は以下のことを確認した。今後あらゆる角度からの取り組みによって、ワシ類の鉛中毒防止を短期間で実現し、その被害を最低限ととどめる努力をすることを、ここに宣言する。
- 近年、北海道内で増加しているオオワシ・オジロワシの鉛中毒は、両種の存続に重大な影響を与える可能性があり、早急に防止策を講じる必要がある。
- 現在発生している鉛中毒症の主要な原因は、射殺されたエゾシカに残留したライフル弾等の鉛変であり、鉛を含有する死体を環境中からなくすことが解決策である。
- 無蓋縦断への移行にあたっては、行政の施策と狩猟者等の協力が不可欠であるので、できうるかぎり早期に移行が実現するよう関係各方面に働きかけることとする。
- 鉛中毒が発生している間、官・民が協力し、それぞれの立場で残滓処理の徹底など、実行可能な被害低減に向けた努力を惜しまない。また関係各方面に協力を求めていく。
- 防止策の策定と実施に伴なって、その効果を常に確認するための各種のモニタリングを継続して行う必要がある。
- この問題を早期に解決するためには、本ワークショップの参加者、団体はもとより、さらに広い範囲を含めた情報交換体制と対策会議を持つことにより、情報と認識の共有を図る必要がある。この体制づくりを進める努力をするとともに、関係諸機関との連携を図っていく。
- ワシ類鉛中毒対策に必要な活動 (ワシ類鉛ネットワーク案)
- 鉛拡散を防止するための対策
- 鉛製ライフル弾、スラグ弾等の使用禁止
- 一般のハンティングに関して
- 有害駆除に関して
- 鉛の残留するエゾシカ死体の発見・回収体制の確立
- ハンター自身による回収
- ハンター以外による発見・回収
- ワシ類に関する調査
- ワシ類鉛中毒に関する情報の一元化
- ワシ死体の回収システム確立
- 病理解剖、情報分析の体制づくり
- 過去の発生状況の追加調査
- ワシ類鉛汚染状況の調査
- 生体捕獲調査(血液採取による鉛分析)
- 他の鳥類に関する同様の調査(クマタカ、トビ、カラス類)
- ワシ類生息状況把握
- ワシ類渡来数とその分析に関する調査の継続
- 特に被害多発地域での生息状況調査
- エゾシカ死体に依存するワシ個体数の調査
- 繁殖への影響調査
- ロシアにての繁殖状況調査
- 国内繁殖個体についての調査
- 鉛中毒がワシの個体数に与える影響の推定
- 救護個体に対する体制の確立
- 救護情報、治療センター機能